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碧海の豊かな風土で可能性を育てる

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 校長コラム PRINCIPAL'S COLUMN   



5.12.1  

校 長  鈴 木 尚 哉 

今回は「セレンディピティ」という言葉についてお話をします。この言葉は「素敵な偶然に出会ったり、予想外の物を発見したりすること。」という意味で、イギリスの政治家・小説家であるホレス・ウォルポール が『セレンディップの3人の王子』という童話に出てくる3人の王子が旅で思いがけないことと出会い、新しい物事を発見していくといった話から、「思いがけない幸福を手に入れる力」という意味で作った造語です。「セレンディピティ」の例として用いられる3つの例を紹介します。1つめは「万有引力の法則」の発見です。ニュートンは木からリンゴが落ちるのを見ました。この偶然の出来事から「万有引力の法則」を見出したのです。2つめは「ペニシリンの発見」です。アレクサンダー・フレミングは、ぶどう球菌の研究の中で誤って発生させた青カビの周りだけは細菌が繁殖しないことに気づき、そこから抗生物質のペニシリンを発明しました。3つめは「ポストイット」(付箋)の開発です。3M社の研究員であるスペンサー・シルバーは強力な接着剤を作ろうとして失敗し、粘着力が弱い粘着剤が出来上がってしまいます。しかし、同僚がこれを見て、「ある程度の粘着力があり、簡単に剥がすことができる」というメリットに気づき、ポストイットが生まれたのです。このようにセレンディピティとは、予期せぬ幸福や成功を偶然手に入れる力のことです。しかしその前提として、自分の周りの事象を冷静に把握し、別の可能性に気づいた上で可能性を広げる力、たくさんのチャレンジや観察力、経験から意味を見出す知識、固定観念や自分の価値観だけにとらわれずに物事を判断する力が求められます。
 次にセレンディピティを得るためのコツとして5点述べます。1つめは他の人と積極的に会話することです。自分が思ってもみない新たな状況が発生する可能性が出てきます。2つめは新しい挑戦をすることです。旅行や留学、読書、学校でのさまざまな活動の役に参加することで可能性が増えます。3つめは物事をよく観察することです。好奇心と冷静さを持って観察することで発見する力を身につけられます。4つめは知識を身につけることです。身の回りの出来事から気づきを得ることができます。5つめは自分の経済的な能力、環境などの前提を無視して考えることです。自分の周りの環境はその人の考えや可能性を大きく制約している場合があります。身の回りにあるさまざまなチャンスに気づく可能性を増やさなければなかなかセレンディピティは得られません。いつかセレンディピティが自分のもとに来るように、日頃から積極的に知識や経験を増やしていってほしいと思います。