校長コラム PRINCIPAL'S COLUMN
4.7.1
校 長 鈴 木 尚 哉
みなさん、碧南高校校長の鈴木です。令和４年度がスタートしました。１年間よろしくお願いいたします。
今回はギリシャ神話のある神様についての話をします。
ギリシャ神話に出てくる神様のひとりにチャンスをつかさどる「カイロス」という神様がいます。
カイロスは美少年で、両足に翼が生えており、いつもとても速いスピードで移動をしているそうです。そして、前髪しかないという独特な髪型をしています。
ヨーロッパには「チャンスの神様には前髪しかない」ということわざがあります。これは、通り過ぎてしまってから追いかけてもチャンスはものにできないという意味です。
この「チャンスの神様」はみんなの前に必ず平等に姿を現します。しかし、いつ、どのタイミングで現れるか分かりません。また「自分はチャンスの神様だ」と教えてはくれません。姿も変えており、人によっては逆にピンチの姿に見えることがあります。しかも動きが非常に速いのです。
思いがけずやってくる自分を成長させるチャンス。たまたま代打で試合に出たら大活躍をしたスポーツ選手や、初めてチームのリーダーの代わりをして優秀な指導者に成長した人がいます。彼らは決して「運がいい」のではありません。普段から、やってきたチャンスを手に入れる準備をしていたのです。人に役や仕事を頼まれたときに、引き受けるのではなく「そんな急に言われてもできない」「自信がない」「別の用事がある」と断る人の方が多いでしょう。
断った時は「面倒なことをしなくて済んだ」と思っていることでしょう。しかし、チャンスを手に入れるのを逃したことを、しばらく経った後で気づくことになります。
私自身の経験です。大学４年生の時に、卒業後の進路について先生と話をしていたときに「鈴木君、今、あなたが研究をしている事柄について教えるためオーストラリアの大学に勤めてみないか？」と誘われたことがあります。その時は少しだけ迷ったものの不安の方が勝り、結局、いろいろな理由をつけてお断りしました。
今思えば、それは人生を大きく変えるチャンスだったのかもしれません。挑戦しなかった私に、もう二度とそんなチャンスは訪れませんでした。もちろんこれが今、碧南高校で多くの人と出会えている状況を否定している訳ではありません。別の形でのチャンスとなったと思っています。
「チャンスの神様」を手に入れる秘訣は、まずは、「集中力」を養うことです。ボーっとしていると見逃します。
「判断力」も必要となります。目の前に現れたのが、チャンスかどうかを、瞬時に判断しなくてはなりません。
「忍耐力」も必要です。なかなか現れなくてもすぐに諦めてはいけません。
「決断力」も必要です。「どうしよう・・・」と悩んでいると、すぐに通り過ぎます。カイロスは前髪しかないので後ろから追いかけてつかむことはできません。
そして「握力」です。逃げないようにしっかり捕まえておいてください。チャンスを自分のものだと主張できる「表現力」もないと、別の人のところへ行ってしまいます。
授業への取組、読書、家庭での学習、食生活や運動、あいさつ、友人との関係…など、すべての自分自身のこれからの生活でこれらの能力は身に付きます。すべてはつながっていて、これからのみなさんの人生に必ず役に立つはずです。さあ、「チャンスの神様」を手に入れましょう。