31.2.1
校 長 坪 井 基 紀
今日から2月です。まだ寒い日が続いていますが、入試シーズンの真っ只中にいる人たちは体調を崩さないようにしてください。
今回の話は、平成18年の大晦日に遡ります。その年、私は入学者選抜の事務的な仕事をしていました。当時の愛知県公立高校では、年が明けた2月の中旬に推薦入学選抜、海外帰国生徒選抜等を行っておりました。そのため、担当の業務は年末から特に忙しくなってきます。その一つに願書や受検票を学校に配付する業務がありました。願書や受検票は12月にできあがってきます。その後、年末までに学校ごとに封筒詰めにし、年明けには配付できるよう仕分けしておかなければなりませんでした。当然他にも多くの業務があったので、そういった作業的なことは後回しにしていましたら、仕事納めの日も過ぎ、年末も年末、なんと大晦日にその仕分け作業をすることになりました。それでも午後からやれば夕方ぐらいには終わるだろうと、まだそのときは安易に考えておりました。しかし、始めてみますと、仕分けの後に複数回の確認もあり予想以上に時間がかかってしまい、21時をまわっても作業は終わりませんでした。自宅に着いた頃には、その年の紅白歌合戦の大トリ北島三郎さんが「まつり」を歌っているところでした。なんとか年が変わる直前に自宅に帰ることができました。前号で「大晦日の夜は、その一年に自分がどれだけがんばったのか振り返るよい時間であり苦しかったことや辛かったことをなんとか乗り越えて、一年の最後の時間に近しい人と話しながら過ごすことは最高の贅沢ではないか」と書きましたが、この年ほどそう感じた年はありませんでした。
今、働き方改革が叫ばれ、多忙化解消に向けた様々な取組が行われています。自分が経験したことを後の人が経験しなくても済むように仕事の仕組みなどを改善することは「多忙」を経験した人にしかできないような気がします。気を付けなければならないことは、誰しもがやってきたことだから翌年も当然やるべきであるとか、やった方が良いということで終わってしまうと何も変わらないということです。また、「多忙」中の人は充実感や達成感を感じている場合もあります。しかし、その裏で我慢している人がいるかもしれないことに心を配ることも大切です。
平成18年大晦日のあの夜。「今年も本当にありがとう」「いのちを本当にありがとう」という言葉に迎えられたことを鮮明に覚えています。