29.9.1
校 長 坪 井 基 紀
大人は普段当たり前のように新聞を読み、その姿は様になっています。しかし、最近の子どもたちはあまり新聞を読まないようです。読んでいる姿もなかなか想像できません。ある学校が高校1年生に行った調査によると、新聞の政治・経済・社会面を毎日読んでいる人は11.3%だったそうです。その高校で、そのような状況を憂い、立ち上がった一人の公民科の先生がいました。
今年8月、名古屋市国際会議場で第23回NIE全国大会が開催されました。先ほどの公民科の先生はそこで公開授業(高校1年)を行ってくれました。これまで習得した知識を活用して、「30年後の社会を生きていくうえで必要となる価値観を考えさせる」ものでした。公民科「現代社会」の「わたしたちの生きる社会」という単元の最後の授業です。
結論から言うと、生徒たちは「ニュースや新聞などで社会の状況を知る」、「思いやりの心をもって行動する」、「自分でよく考え、自分の意見をもつ」など様々な角度からの意見を出していました。AI、VR、ベーシック・インカム、再生医療など、それまでの講義形式の授業や新聞スクラップで得た知識を活用して、ディベートやグループ協議を経て、深い学びになっているのを感じました。生徒たちは、このテーマを自分の生活や人生と結びつけ「他人ごと」ではなく「自分ごと」として捉えていました。
NIEの公開授業ですから、新聞を使ってどのような学びをして、生徒が自分の考えをどうつくるのかがポイントになります。この授業では、新聞で世の中の動きを知り、それを活用して友人たちと話し合い、自分の意見をつくることができていました。
全体を通して、この授業をより一層素晴らしいものにしたのは、何よりも楽しそうな授業だったことです。生徒が楽しいだけではなく、先生が一番楽しそうでした。このことはすごく大事なことです。楽しそうに授業をする先生を見ていれば、きっと生徒も授業を受けるのが楽しくなるはずです。では、その先生はどうして楽しそうだったのでしょうか。それは授業の中で生徒が成長する姿が感じられているからだと思います。この公開授業で先生と生徒の相乗効果を見ることができました。